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世のため、そして日本のために。CFO 末藤、ライフミッションを語る。

今回は、VisionalのCFO(Chief Financial Officer)兼CAO(Chief Administrative Officer)を務める末藤梨紗子さんに「パーソナルヒストリーインタビュー」を行いました。半生を振り返りながら、末藤さんが大切にしている価値観や信条に迫りました。

※本記事のトップ写真は、在宅勤務への移行前に撮影したものです。


プロフィール

末藤 梨紗子/Suefuji Risako
慶應義塾大学卒業後、モルガン・スタンレー証券株式会社(現:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)に入社。2010年にゼネラル・エレクトリックでグローバル・リーダーシップ・プログラムに参加後、マーケティングや経営戦略業務に従事。2016年よりグラクソ・スミスクライン株式会社で財務、経営戦略、コンプライアンスのエグゼクティブを担当。2019年、株式会社ビズリーチに入社。2020年、現職に就任。


長い海外生活で芽生えた「私は日本人である」というアイデンティティ

──今回は、これまでの人生を遡りながら、末藤さんが大切にしている価値観や信条に迫っていきたいと思っています。よろしくお願いします!

インタビュー、楽しみにしていました! よろしくお願いします。

──まず、幼少期や学生時代のお話から聞かせてください。

海外で生まれ、0歳から大学に入るまでの18年間の内、約9年間を海外で過ごしました。父が外交官として働いていたため、数年ごとに海外と日本を行ったり来たりする生活でしたね。

いわゆる地元という場所はなく、根無し草のような幼少期~学生時代でした。何度も日本と海外を行ったり来たりしていたので、日本語も英語も常に中途半端でした。環境が激しく変化するたびに、毎回のように言語の壁にぶつかっていましたね。

──当時を振り返ってみて、自分はどのような子供だったと思いますか?

言語の話にも通じますが、私は決して優秀ではありません。小さい頃から落ちこぼれで、小学校1年生の時には、引き算ができなくて居残りをしたこともありました。

ただ、激しく変化し続ける環境をどうにか生き延びる中で、誰よりも努力し続けることを意識していました。

高校1年生の時、親からは「大学進学のために日本に残りなさい」と言われたのですが、残りの2年間の高校生活を、自分の意志で海外で過ごすことを選びました。いつしか芽生えた「自分の人生のハンドルは、自分で握るべきだ」という直感に従ったのです。そして、自分で選んだからには絶対に意義のある高校生活にしたいと思い、愚直ながらにも、必死に努力しました。

これは、今の自分にも通じるテーマなのですが、私は「努力は必ず報われる」と信じています。たとえ短期的には結果に結びつかなくても、中長期的に見れば、努力は必ず結果に繋がります。そして、その努力の結果が周りの人たちに伝わっていくことで、自分を信頼して、支えてくれる人が増えていきます。実際に、あの2年間がむしゃらに挑戦したからこそ、その後の人生における選択肢の幅が大きく広がったと思っています。

今から当時を振り返ると、自分には「努力を積み重ねることができる」という才能があることに気付くことができた2年間でしたね。

──末藤さんの人生にとって、とても大きな意義のある高校生活だったのですね。

そうですね。そしてそれだけでなく、その高校生活で起きたある出来事がきっかけで、自分のアイデンティティを強く意識することになりました。

当時、少しでも現地の生活に馴染みたいと思い、サンフランシスコの介護老人施設でボランティアとして働いていて、そこで、中国出身の老婦人と仲良くなりました。

私が英語を話していたので、中華系アメリカ人だと認識されていたと思うのですが、ある時、私が日本人であると知ると、その老婦人は、私に急に中国語で怒鳴りはじめました。「日本が戦争の時に中国に対して行った行為を、決して許さない」と。高校生の私にとって、とてもショッキングな経験でした。もちろん、戦時中のことは歴史の授業で学んでいましたが、当時の私は、恥ずかしながら、その老婦人の話を聞いてもピンとこなかったのです。

その出来事を国際電話で父に話すと、外交官としての自身の体験を交えながら、歴史認識について教えてくれました。多くの日本人にとっては、戦争中に起きたことは、歴史の教科書の1ページ上の出来事に過ぎないかもしれません。ただ、その老婦人にとっては、決して過去の一出来事ではなく、いつまでも心の中に生き続けている記憶だったのだと、私は初めて気付きました。この出来事を通して、「私は日本人である」というアイデンティティを強く意識するようになりました。

歴史の観点からすると、過去を切り離すことは絶対にできなくて、そうした一つ一つの過去の歴史の延長線上にしか、私たちは未来を描くことはできないんですよね。だからこそ、過去の歴史から学び続ける姿勢を大事にしたいと思いました。そして、今この時代を生きる者として、悲しい歴史を繰り返すことなく、多様性のある未来のために貢献できるような人になりたいと、この時に思いました。

そしてそうすることで、最後は、世のため、そして日本のために貢献したいと考えました。

──「世のため、そして日本のために」というテーマは、お父様の外交官としての仕事にも通じますね。

父は、22歳の時に入省した時から、一貫して「国益のために」というライフミッションを掲げており、私は外交官として誇りをもって働く父の姿を見てきました。だからこそ、私の人生観は、父から大きく影響を受けていると思います。いつしか私も、「世のため、そして日本のために」と思うようになりました。


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「努力は必ず報われる」ことを、人生を懸けて証明する

──大学に通っていた当時は、具体的にどのような仕事に就きたいと考えていたのでしょうか?

先ほどお話しした原体験があり、何かしらの形で日本に貢献できるような人になりたいと強く思っていました。大学生の時は、国家公務員として、父と同じ道を進もうと考えていたのですが、「これからは官の力ではなく、民間の力で世の中を変えていく時代だ」と父に助言され、考えを変えました。

──末藤さんは、大学卒業後、モルガン・スタンレー証券株式会社(現・モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)に入社されましたね。外資系の企業を選んだのは何故だったのでしょうか?

「日本人として世界に通用するビジネスパーソンになりたい」「最終的には、日本のために貢献できる人になりたい」という強い想いがあったからこそ、当時は、いち早く力を身につけられることに主眼を置いてキャリアを選択しました。年功序列がなく、成長機会が多いと聞いていた外資系の企業に入りました。

──モルガン・スタンレーでM&Aのアドバイザリー業務を経験した後、GEへ転職されていますね。そのきっかけについて教えてください。

実は、モルガン・スタンレーからGEへ転職するまでの間に、約8カ月の空白期間がありました。モルガン・スタンレーでの日々はすごく充実していたのですが、とはいえ、仕事一色の日々だったんですよね。

「人生をもっと豊かにしたい」と思い、29歳の時に次を決めずに一度仕事から離れ、いろいろな人に会い、旅行をして、自分の人生を見つめ直す時間を作りました。

その期間中に、名だたる経営者の方々とお話しする機会を得ることができ、事業会社で働くことの面白さについてお聞きしました。モルガン・スタンレーではアドバイザーとしての経験を積みましたが、次は、より直接事業の成長に携わりたいと考え、GEへの転職を決めました。

──GEで事業戦略や経営企画に携わった後、2016年にGSKへ転職されていますね。

GEで、ある大きなプロジェクトが一息ついたタイミングで、たまたま巡り合ったヘッドハンターの方から、GSKのCFOを紹介してもらいました。当時、「財務の仕事に戻りたい」「製薬会社で働きたい」と考えていたわけではなかったのですが、そのCFOがとても魅力的な方で、一緒に仕事をしたら面白そうだなと思い、直感で転職を決めました。

GSKに入社してからは、財務も担当しましたが、それだけでなく、シンガポールで経営企画業務、そしてコンプライアンス業務に携わる機会を得ることができました。

──こうして末藤さんのキャリアを振り返ってみると、財務をバックグラウンドとしながら、様々な経験を積んできたことが分かりますね。

はい。財務からキャリアをスタートしましたが、新しいチャンスが巡ってきたら迷わずにテイクしてきました。多岐にわたる領域へ挑戦してきたのは、今から振り返ると結果論でしかありませんが、ただ、目の前に与えられたことを全力でやり切ることだけは、ずっと心に決めていました。

結果的に、周りの人が私の努力を認めてくれて、手を貸してくれて、次の新しい挑戦の機会をもらい、今に繋がっています。やはり、努力は報われるんですよね。


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「自分の人生のハンドルは、自分で握るべきだ」という確固たる信条

──続いて、末藤さんがビズリーチに入社を決めた経緯について教えてください。

きっかけは、2018年の秋に、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」が主催する学生向けイベントにパネリストとして参加した際に、初めて南(壮一郎)さんに出会ったことです。

そのイベントの数か月後に、再び南さんとお話する機会があり、そこで、お互いの人生観や、これからの人生で成し遂げたいことを語り合いました。その後、(竹内)真さん、永田(信)さん、多田(洋祐)さん、三好(加奈子)さんといった方々とお話をしました。

一人一人のお話を聞くなかで、自分と似たような価値観やキャリアの方もいれば、全く違う方もいて、良い意味での居心地の良さと新しい発見の両方がありました。

そして、Visionalが大切にしているバリューの一つに「価値あることを、正しくやろう」という言葉がありますが、同じ志を持つ人が集まったこの会社であれば、私の「世のため、そして日本のために」というライフミッションを実現できるかもしれないと思いました。

また、お会いする方全員が、「変わり続けるために、学び続ける」というバリューを体現していることに気付き、とても刺激を受けました。気付けば、この会社の10年後、20年後の未来の景色を一緒に描きたい、と思うようになっていましたね。

そして、「いつかは日本の会社で働きたい」という思いをずっと抱いていたので、自分の人生において、ちょうどそのタイミングが来たのかもしれないと感じました。

──これまで歴史ある大手外資系企業で働いてきた末藤さんですが、創業10年のスタートアップ企業に転職することへの不安はありませんでしたか?

これまで、私の人生は挑戦の連続だったので、不安はありませんでした。むしろ、こんなにも面白いチャンスを逃すことのほうが怖かったかもしれません。

私は、2019年7月にビズリーチにジョインしましたが、まさに今、この会社はとても大きな変革期を迎えています。ビズリーチは、2020年2月よりグループ経営体制に移行し、新しくVisionalというグループ名を掲げて再出発を果たしましたが、今こそ、これまで10年間続けてきた成長を更に加速させていくタイミングなのです。このタイミングで、この会社と巡り会えたことも入社を決めた理由です。

──実際に入社してみていかがでしたか?

一番驚いたのは、熱量に満ち溢れる20代、30代の社員が本当に多いことです。変化することを恐れずに、柔軟に学び続ける仲間たちの姿を見て、日々、そのエネルギーに圧倒されています。このVUCAの時代において、変わり続けることができる組織は、更に強くなると私は信じています。

また、日々実感しているのは、誰もが「価値あることを、正しくやろう」というバリューを体現していることです。Visionalには、「誰にでも胸を張って伝えられる仕事をしたい。その思いを常に忘れず、道の真ん中を堂々と突き進みたい。」という同じ価値観を持つ仲間が集まっています。だからこそ、この会社には、チームワークを重んじるカルチャーが浸透しており、これもVisionalの大きな強みだと思います。


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ファイナンス本部のチームミーティングの様子


──VisionalのCFO兼CAOとしてのミッションについて教えてください。

Visionalの企業価値を上げること。そして、10年間にわたり拡大を続けてきたこの会社の更なる持続的な成長を支えることが、私の役割だと思っています。CFO、CAOというロールはありますが、会社のマネジメントチームの一員として仕事するからには、自分に与えられた領域を守るだけではなく、総合力を発揮していかなければならないと考えています。

──最後に、今、末藤さんが働く上で大切にしている信条について教えてください。

まず、Visionalのバリューの一つである「価値あることを、正しくやろう」は、私の「世のため、そして日本のために」という人生のテーマと重なっています。

また、自分は完璧ではないことを認め、仲間を信頼すること。そして、仲間とともに前へ進んでいくこと。Visionalの仲間を大切にするカルチャーは、まさに私にぴったりだと感じています。

そして、元GEの経営者ジャック・ウェルチの「Control your own destiny or someone else will.(自分の運命は自分でコントロールすべきである。さもないと、誰かにコントロールされてしまう。)」という言葉を、いつも大切に胸にしまっています。「自分の人生のハンドルは、自分で握るべきだ」という信条は、学生時代から今に至るまで変わりありません。

私は、自分の意志で、確信をもってVisionalへジョインすることを選びました。これからきっと、大変なこともたくさんあると思いますが、大切な仲間たちとともに、この会社の更なる成長を実現していきたいです。

──本日は、ありがとうございました!

いろいろな質問をしていただき、これまでの人生を振り返る良いきっかけになりました。こちらこそ、ありがとうございました!


この記事の執筆担当者

松本 侃士/Matsumoto Tsuyoshi
1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2014年、音楽メディア企業に新卒入社し、音楽雑誌・ウェブサイトの編集や、採用などを経験。2018年、株式会社ビズリーチへ編集者として入社。現在は、人財採用本部・採用マーケティンググループで、「ALL VISIONAL」の運営などを担当している。


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