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経営者にとっての選択肢を広げたい。ゴーゴーカレー様の「承継公募」が実現に至るまで。

※本記事は、2019年1月22日に、前身ブログ「Reach One」で公開したものを、一部編集した上で転載したものです。


2018年11月1日、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」は、事業を譲りたい経営者のための「承継公募」サービスを開始しました。その第1弾として、株式会社ゴーゴーカレーグループ様(以下、ゴーゴーカレー様)が、後継者の不在に悩む全国のカレーの名店を募集しました。

この「承継公募」の記者会見は、テレビや新聞など転載含めて80媒体以上に取り上げていただきました。しかしそこに至るまでには、様々なドラマがあったようです。今回は、このプロジェクトを担当した、事業承継M&A事業部の水村浩明さんと、広報の辻香織さんにお話を聞きました。


プロフィール

水村 浩明/Mizumura Hiroaki(写真右)
株式会社静岡銀行を経て、2018年4月株式会社ビズリーチに入社。現在は、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」にて、ビジネス開発を行う。
辻 香織/Tsuji Kaori(写真左)
大手PR代理店、事業会社のコーポレートPRを経て、2015年4月株式会社ビズリーチに入社。事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」などのサービス広報を担当。


──はじめに、今回のゴーゴーカレー様のプロジェクトが始まった経緯について教えてください。

水村:「ビズリーチ・サクシード」は、サービス開始から約1年が経ち、少しずつですが、各地の企業様間で成約が生まれています。しかし、後継者不在による廃業が引き続き進むなか、私たちのサービスの認知はまだまだ十分ではなく、もっとサービスを知ってもらうための取り組みができないかと考えていました。

そこで注目したのが、中小企業白書の調査結果でした。「中小企業白書」によると、後継者不在の企業のうち、「M&Aに関心のある経営者」は3割強、「具体的に検討・決定している経営者」はわずか3.4%にとどまっており、M&Aが事業承継のための選択肢として一般的ではないことがうかがえます。また、後継者不在である企業の経営者がM&Aを検討する際の障壁として、「判断材料としての情報が不足している」という声が最も多く、会社の未来を託せるかを判断するための情報の見える化がとりわけ求められていると考えられます。

そこで私たちは、そうした課題を公募サービスによって解決できるのではないかと考え、この「承継公募」プロジェクトを始めました。具体的には、譲り受け企業が企業名を公開したうえで、経営者の方に事業承継M&Aにかける思いや、譲り受けた後の展望を話していただきます。そしてそれをインタビュー記事として掲載することで、事業を譲ろうか悩んでいる経営者の方々が一歩踏み出すきっかけを作ることを目指しました。

──その第1弾として、ゴーゴーカレー様の公募を開始することになったきっかけについて教えてください。

水村:ゴーゴーカレー様は「美味しいカレーを世の中に広め世界を元気にする事」をミッションとし、国内外にカレー店を80店舗以上展開されている企業様で、さらなる事業拡大の戦略を練るなかで、地域で愛されるカレー店を看板や味をそのまま承継することによる、ブランドの多角化を視野に入れていました。そこには、各地域で愛される「美味しいカレー店」が後継者不在を理由にそのまま無くなっていく現状に課題を感じていたという背景があったと聞きます。

辻:実はゴーゴーカレー様は2017年に、石川県で一番歴史のあるインド料理店ホットハウス様を既に承継されていました。もともとホットハウス様は、創業者がご高齢になり、親族にも後継者がいなかったことから、事業承継を視野に入れていました。その話を聞いたゴーゴーカレー様の宮森社長が、「味を大切に守りたいので、ぜひ店を引き継がせてほしい」と声を掛けたんです。宮森社長がホットハウス様の常連客で信頼関係があったこともあり、事業承継が実現しました。


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左:ゴーゴーカレー 宮森社長 右:ホットハウス 五十嵐名誉会長


水村:ゴーゴーカレー様は、「ホットハウス様のような地域で愛されるカレー店を今後も承継したい」と考えていました。しかし、ブランド継続型の事業承継M&Aを大切にしているにもかかわらず、その認知は思うように進んでおらず、対象となるカレー店や飲食店などがなかなか見つからないことが課題となっていました。

そこでゴーゴーカレー様に、「承継公募サービスを通して、今まさに後継者不在で困っている経営者の方々に向けてPRしませんか?」とお声がけしたんです。私たちの考えに共感してくださり、「どれだけ反響があるかはわかりませんが、やってみましょう!」というお返事をいただいたことで、今回のプロジェクトが始まりました。

辻:公募と合わせて記者会見をすることも重ねてご提案しました。そこまではすぐ決まったのですが、記者会見までに残された期間は1ヶ月。そこからは怒涛の日々でしたね。全てビズリーチ側を中心に準備する必要がありましたが、短期間で記事、公募専用ページ、動画や広告を掲載することなどをご提案し、案を固めていきました。

──今回のプロジェクトを進めるうえで、お二人が工夫した点を教えてください。

水村:記事やキャッチコピーなどで使用する言葉遣いや表現には特に留意しました。今回主にPRしたかった後継者不在の経営者の中には、「M&A」に抵抗のある方もまだ多くいらっしゃるため、「買収」や「買う・売る」など直接的な表現を控え、「未来に繋げる」「承継する」「引き継ぐ」「譲り受ける」などに置き換えました。

辻:後継者不在に悩む経営者の方に、どうしたら私たちの想いを伝えられるか何度も考えました。そして最終的に決まった承継公募サービスのコピーが、「事業を譲りたい経営者のための承継公募」です。

水村:案はどれぐらい出しましたっけ? 10個ぐらいでしたか?

辻:30個以上かな。決定するのに2週間以上かかりました。この公募サイトの検討にあたり、その他工夫した点でいうと、メッセージ動画を制作したことですね。事業を譲り受ける側、譲り渡す側それぞれの人となりや想いが伝わる動画があれば、承継公募の意図がより伝わりやすいのではないかと考え、ゴーゴ―カレー様の宮森社長とホットハウス様の創業者である五十嵐名誉会長に登場いただき動画ページを追加しました。

記者会見当日に向けて徐々にアイディアが固まってくる中で、記者の方に「後継者不在の事業承継」と「無くしてはいけない味」というポイントをどのように伝えたらいいのか、何度も試行錯誤しながら案を練っていきました。その中でも特にこだわったことは、記者の方々にカレーを試食していただくことです。「この味を無くしてはいけない」と感じてもらうために、実際に試食していただくことが重要だと考えました。


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記者会見の会場で、記者の方々に試食していただいたカレー。


──記者会見当日は、いかがでしたか?

水村:予想をはるかに上回る24媒体様に参加いただき、反響の大きさに驚きました。記者の方々も、承継公募という新しい形で事業承継課題を解決するという取り組みに興味を持ってくださり、たくさんの質問を頂きました。また、ホットハウス様のカレーを試食された記者の方からは、「この味は無くしちゃダメですね」と言っていただきました。

辻:記者会見当日に向けて、事前に広報のメンバーと連携して、今までリレーションがなかった新規の飲食関連のメディア様に取材の提案を行っていたのですが、当日は「無くしてはいけない味がある」という切り口で取材していただき、6つのテレビ番組にも取り上げていただきました。地方にいらっしゃる社員のご家族からも「ビズリーチのニュース、テレビで見たよ!」と言ってもらえて…。この取り組みを実行して凄くよかったなと思えました。


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記者会見当日の様子


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日経新聞に出稿した、後継者不在にお悩みの経営者様に向けたメッセージ。


水村:メディア掲載の反響を通じて、私たちが取り組む「事業承継」は、社会にとって大きなテーマであり、その解決を目指す「ビズリーチ・サクシード」は、まさに今求められている事業だということを再認識することができました。

辻:記者会見後、サービスサイトのアクセス数は過去最高を記録し、実際に、後継者不在の老舗カレー店からの応募をいただくなど、潜在的なニーズが高いことを改めて実感しています。

水村:私自身とても嬉しかったことは、メディア掲載を通じて本公募を知り、後継者不在のカレー店経営者のお子様がご両親に代わって応募してくださったことです。今まで知らなかった方に本サービスを知っていただくことができ、とても嬉しく感じました。

──今回のプロジェクトを経て、これからさらに挑戦したいことがあれば教えてください。

水村:飲食業に限らず、製造業など幅広い業種で事業承継を促進するために、今後も承継公募を引き続き実施していきたいですね。一つ一つの記事を通して、事業承継M&Aは「経営者による前向きな決断」であることを伝えていきたいです。そして、経営者ご本人に留まらずその周りの方々も含めて一人でも多くの方に「ビズリーチ・サクシード」を認知していただくことで、経営者にとっての選択肢を広げていきたいと思っています。

辻:「価値ある事業を未来につなげる」という「ビズリーチ・サクシード」のミッションを実現するために、これからも様々なことに取り組んでいきたいです。


※元記事の掲載後、ホットハウス 五十嵐名誉会長の訃報のご連絡をいただきました。心よりお悔やみ申し上げます。今回の「ALL VISIONAL」への転載は、事前に関係者の方へ承諾を得た上で行っております。


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