株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 多田洋祐の訃報について
ビジョナル株式会社 代表取締役社長の南です。
去る7月2日、当社取締役であり、グループ会社の株式会社ビズリーチ 代表取締役社長を務める多田洋祐が、急性心不全により逝去いたしました。突然の訃報であり、従業員一同、今もまだ現実のこととして受け止めきれずにおります。ご不安や混乱を感じられている方々も多いと思います。この場をお借りして、私からご報告させていただきます。
併せて、日頃の多田さんの人柄や、彼が抱いていた事業への想いを、私なりにお伝えしたいと思います。なお、私は彼を普段「多田さん」と呼んでおり、本文でもそのまま「多田さん」と表記させていただくことをお許しください。
多田さんは、7月2日に高校時代のご友人と出かけたゴルフのプレー中、突然倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。前日まで、いつもと何ら変わりがない1日を過ごし、社内外の会議に出席しておりました。私自身も社内のチャットツールでやりとりをしていたため、一報を聞いた時は本当に驚きました。
ご家族によれば、多田さんは生まれつき心臓に持病があったそうです。猛暑の中、長時間屋外で過ごしたことが、知らず知らずのうちに体に負担をかけていたのかも知れません。幼少期からサッカーで体を鍛えており、体力には自信があったのでしょう。本人も、まさかこのようなことになるとは、想像していなかったのではないかと思います。
誰よりも笑顔が素敵な男でした。人懐っこさがありながら、強い信念の持ち主でもありました。誰に対しても臆することなく、叱咤激励をしてくれました。社内会議で我々のあまりにも激しい議論を見て、若手社員が「うちの経営陣は仲が悪いのだろうか?」と噂をしていると何度も耳にしたことがあります。
しかし私自身は、多田さんの本気の議論に心から感謝していました。事業や会社を本気で成長させたいという意志がなければ、苦言を呈することはできません。私に対して物怖じせず、はっきりと指摘してくれる姿勢は、仲間として本当にありがたいと思っていました。
多田さんが入社して2年目の2013年夏、私は「この人ならビズリーチの未来を委ねられる」と確信して、当時31歳だった彼にビズリーチの事業部長を託しました。そして2020年2月、グループ経営体制の移行にあたり、中核会社となった株式会社ビズリーチの2代目社長をお願いしました。
卓抜したリーダーシップのもと、多田さんが入社した時(2012年7月期)に売上高7億円だった会社は、10年あまりの間に、売上高436億円、営業利益80億円(2022年7月期)を見込む規模へと拡大しました。従業員も、40人から1,500人を超えるまでに増えました。この成長は、創業メンバーを中心とした経営チームから、多田さんを軸とした新経営体制へと権限移譲できたからこそです。多田さんがいなければ、今のビズリーチ、並びにVisionalグループの姿はなかったでしょう。
経営者として多田さんは、誰よりもダイレクトリクルーティングの可能性を信じていました。日本の働き方の未来を信じ、目指したい理想の社会を創るべく、本気で挑み続けてくれました。日本における「ダイレクトリクルーティングの育ての親」のような存在でした。ダイレクトリクルーティングを提唱し始めた頃、この新しい考え方を理解いただくまでに長い時間がかかりました。我々にとって苦難の連続でしたが、その厳しい状況にも諦めず、文字通り最前線でお客様に意義を説明し、チームを支え続けてくれたのが多田さんでした。
いつも、自らの背中で語り、仲間を鼓舞し続けていました。事業部長への就任を機に、全社員にむけて毎週手紙を書くと決め、倒れる直前まで欠かさず発信を続けました。多田さんの本気の姿勢が、社内の仲間の心に火をつけ、新しい日本の働き方や採用のあり方を信じられるようになったのだと思います。多田さんが描いた未来は日本中に広がりつつあり、まさに花開こうとしています。
株式会社ビズリーチの社長として、多田さんが次に目指していたのは、働く人の「キャリアインフラ」となることでした。一人ひとりの働き方に生涯寄り添い、サポートする存在に、ビズリーチを引き上げていく構想をいつも語っていました。その目標に向けた旅が道半ばで終わってしまったことは心から悔やまれますが、彼の信念は、株式会社ビズリーチのみならず、Visionalグループの隅々にまで浸透しています。これまで一緒に事業づくりに励んできた仲間たちの力によって、必ず彼が夢見た会社の姿を実現していけると私は信じています。
会社の成長を常に支え続けてくれた。大きな志をみんなの心のなかに遺してくれた。そのすべてに、改めて心から感謝します。多田さんの想いを実現するため、我々は引き続き信念を持って取り組んでいきます。
最後に、私と多田さんが参加した最後の経営会議で、彼に言われた言葉を記して、筆を置きたいと思います。
「会社として、想像もできないような未来を創れるのは、創業者の南壮一郎しかいません。僕も含めて一緒に働く仲間たちは、南壮一郎が描くでっかい未来予想図を実現したくて、ここまであなたについてきたんです。目先や足元のことは我々に任せてください。南さんは大きな社会の課題と向き合って、世界や社会にインパクトを与えられるような事業を新たに創り出すために時間を使ってください」
ちょうど8月から始まる新しい決算期の議論をしている時でした。私が事業の細かなコスト構造や人事について指摘した際に、多田さんは鬼の形相で、「でっかい未来を描き続けてくれ」と私を叱ってくれました。彼の託してくれた想いと言葉は、私一人では到底実現できません。Visionalの仲間たちを信頼し、支えてもらいながら、彼が想像もできないような未来を必ず創ってみせると、ここに約束します。
ただ本当は、一緒に肩を組みながら、その景色を見てみたかった。多田さん、天国からいつものように、我々を鼓舞し続けてください。
本当に、本当にありがとう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。私自身も混乱のさなかにあり、乱文乱筆、ご容赦ください。
2022年7月6日
ビジョナル株式会社
代表取締役社長 南 壮一郎
--
本件についてのお問い合わせ先
株式会社ビズリーチ 広報グループ
memorial@bizreach.co.jp