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【書籍連動企画】ビズリーチCTO 外山英幸、「経営とプロダクトの接続」を語る。

2021年6月30日、ダイヤモンド社より、書籍『突き抜けるまで問い続けろ 巨大スタートアップ「ビジョナル」挫折と奮闘、成長の軌跡』が発売されました。

書籍の紹介記事は、こちら。

書籍の中では、ビズリーチ創業において、エンジニアであり、かつ経営者でもある竹内真さん(ビジョナル株式会社 取締役 CTO)が、プロダクト開発面はもちろんのこと、その後の組織づくりや文化形成に非常に大きな役割を果たしたことが綴られています。

そして、2020年2月のグループ経営体制への移行タイミングで、竹内さんから、株式会社ビズリーチのCTOの役割を引き継いだのが外山英幸さんです。

外山さんのパーソナルヒストリーインタビューは、こちら。

この記事では、書籍の中では伝えきれなかった話として、現在、外山さんやビズリーチの各プロダクト開発組織が「問い続けている」課題や、組織として大切にしている価値観について紹介していきます。

※本記事内の写真の撮影は、ソーシャルディスタンスを保ちながら、撮影時のみマスクを外して行いました。


プロフィール

外山英幸/Toyama Hideyuki
2005年、Web制作会社に入社。フルスタックエンジニアとして開発を担当。その後、フリーランスとして、NTTデータなどで開発・運用・保守を経験し、2011年、株式会社BookLiveに入社。エンジニアマネージャーやアーキテクトとして、創業期から売り上げ100億円以上の規模に至るまでの様々なシステム開発を主導。2017年、株式会社ビズリーチに入社し、キャリトレ事業部やビズリーチ事業部のプロダクト開発部長を務める。2020年2月、現職に就任。


経営とプロダクトの接続を目指すためには、お互いの相互理解が必要。

──外山さんは、2017年にVisional(入社当時はビズリーチ)に参画しています。改めて、入社の経緯について教えてください。

前職のBookLiveでは、幸いなことに、マネジメントや、経営とコミュニケーションを取りながら開発をリードする経験など、様々なことに挑戦することができていました。ただ、そのようにして培った自分の能力に再現性があるのか確かめたいと思うようになり、全く新しい環境で0から再び挑戦する決意をしました。

転職活動を始めた当初は、数名〜数十名規模のスタートアップを次の挑戦の場として考えていました。ただ、ビズリーチの面談で、エンジニア採用担当の磯谷(薫)さんから、「ビズリーチは1,000名を超えた規模の会社ではあるけれど、HR Tech領域を中心に様々な事業を立ち上げていて、常に変わり続けている。それぞれの事業フェーズにおける課題がたくさんあり、挑戦の機会は数多くある。」という話を聞き、それまで自分の中にあった固定観念が覆りました。

また、いろいろな社員と話すなかで、実際にビズリーチでは、会社や事業が急成長する過程で、新しい課題が次々と生まれていることを知りました。解決していくべき課題が多い環境は、むしろ望んでいたことでもあったので、次の挑戦の場としてビズリーチを選びました。

──実際に、様々な課題に直面しているビズリーチに入社してどのようなことを感じましたか?

入社する前から話としては聞いていたのですが、会社全体として、経営とプロダクトの接続が重要であることを強く意識していると感じました。そうした考え方が共有されている理由として、(竹内)真さんが、ビジネス×エンジニアの両利きであることが大きく、実際に彼と話すなかで、自分の考え方に通じるものがあると思いました。

これは僕が前職で働くなかで学んだことですが、経営とプロダクトの接続を強めていくためには、お互いの相互理解がとても大切です。人間関係も一緒ですが、相手に自分のことを理解してもらうためには、まずは自分が相手のことを理解する必要がありますよね。だからこそ、まずは僕自身が経営についてしっかり理解したいと考え、32~33歳の時に中小企業診断士の勉強をしました。

経営について学んで良かったと感じたことは非常に多いです。例えば、「IPOに向けた内部統制では、プロダクト開発組織に何が求められているのだろうか?」ということを理解していると、経営とのコミュニケーションにおける齟齬が少なくなります。何より、相手のことを理解しようとする姿勢を示すことで、一緒に働くうえでのコミュニケーションがスムーズになりますし、感謝すること、感謝してもらうことも増えていきます。

また、もともと経営とプロダクトの接続の重要性は理解していたつもりではありましたが、ビズリーチに入社して驚いたのは、単に接続がなされていただけではなく、そうした経営とプロダクトの関係性が、各事業の成長ドライバーになっていたことです。真さんと一緒に働くなかで、非常に多くのことを学ばせてもらいました。


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職種の異なる「仲間」同士が、お互いをリスペクトし合う。

──2020年2月のグループ経営体制への移行とともに、株式会社ビズリーチは、新しいフェーズに入りましたね。

はい。今までは、株式会社ビズリーチという一つの会社の中に、事業承継M&Aやサイバーセキュリティなど様々な領域の事業が並列して存在していました。しかし、グループ経営体制への移行をきっかけとして、株式会社ビズリーチはHR Tech領域にフォーカスしていくことになりました。

経営の観点で言うと、今後は、キャリアインフラ構想の実現に向けて、どのように経営資源を投下していくか、よりシャープに戦略を考えられるようになったと思っています。株式会社ビズリーチとしての第2ステージですね。

──同じタイミングで、外山さんは、株式会社ビズリーチのCTOに就任しました。これまでCTOとして、様々なシーンで「問い」を立て続けてきたかと思いますが、現在は、どのような課題に向き合っているのでしょうか?

先ほどお話ししたように、経営とプロダクトの距離が近いことは、この会社の大きな強みの一つです。しかし、まだまだお互いのロードマップが一致しきっているわけではないと思っています。

──その本質的課題解決のためには、何が必要であると考えていますか?

経営とプロダクトを更に強く結びつけていくこと、もっと言えば、プロダクト開発組織が経営視点を持たなければいけないと考えています。そしてそのためには、今まで以上に、プロダクト側から経営にアプローチしていく必要があります。

経営とプロダクトが中長期的な観点で目線を合わせていくうえでは、お互いの考え方や認識のズレを一つずつなくしていかなければいけません。だからこそ、例えば、「短期的な成果につながらないとしても、~年のスパンで見ると、~の成果が見込める。」というように、経営の考え方に寄り添いながら、プロダクト側の構想を丁寧に伝えていく必要があると考えています。

また、プロダクト側から経営にアプローチしていくことは、会社全体としてキャリアインフラ構想の実現を目指していくうえでも非常に重要になります。なぜなら、その実現のためには、キャリアインフラ構想の中長期のロードマップに、「ビズリーチ」「HRMOS」「キャリトレ」「ビズリーチ・キャンパス」という各プロダクトの開発プランを正しく位置付けていく必要があるからです。

そうした位置づけが為されてこそ、初めて、「構想の実現のために、それぞれのプロダクト開発をどのように進めていくべきか」という本質的な議論ができると思っています。

課題の数は多く、その形も様々ですが、もともと経営とプロダクトの距離が近い会社なので、意志を持ってコミュニケーションを重ねていけば、少しずつ前進していけるはずです。

そしてもちろん、施策を進めていくうえでは、経営メンバーだけでなく、様々な職種の仲間を巻き込み、連携していく必要があります。そのうえで強みとなるのが、ビジネス開発組織とプロダクト開発組織が、お互いにリスペクトし合うカルチャーであると思っています。

──書籍を読んでいて、南(壮一郎)さん(Visionalグループ代表)が竹内さんについて、「彼が会社を牽引したエンジンであり、ビズリーチの精神そのもの」と表している一節が印象的でした。それぞれ異なる強みを持つ仲間同士がリスペクトし合うことで、事業や組織が成長してきた歴史が伝わってきました。

まさに、南さん、真さん、永田(信)さん(ビジョナル・インキュベーション株式会社 代表取締役社長)をはじめとした創業メンバーたちの関係性が、今の組織にも反映されているのだと思っています。

この会社で、ビジネス開発職やコーポレート組織の仲間たちが、エンジニアやデザイナーに対してリスペクトを払っているのは、真さんがCTOとして社内にメッセージングし続けてくれたからこそです。こうしたカルチャーは模倣難易度が高いからこそ、この会社が大切にし続けなければならない強みとも言えます。

また、南さんについてすごいと思うのは、自分とは異なる強みを持つプロフェッショナルを次々と仲間として迎え入れ、そうした仲間たちを本気で信頼して、次々とバトンを渡していることです。そうした南さんのスタンスも、仲間を信頼し、リスペクトし合うカルチャーにつながっているのだと思います。


本質的課題解決のために、いつまでも何度でも変わり続ける。

──全社でキャリアインフラ構想を実現するために、CTOとして「問い」続けることで見えた課題が他にあれば教えてください。

書籍の中に「事業と人はセット」という言葉がありましたが、キャリアインフラ構想のロードマップに合わせて、プロダクト開発組織も変化し続けていく必要があると考えています。

先ほどの短期・中長期の話にも通じますが、僕たちが描いている構想はとても大きなものなので、短期的な開発効率ばかりを優先した組織づくりをしていてはいけません。また今後は、それぞれのプロダクト開発組織の連携が重要になっていくため、中長期を見据えて、組織の在り方をデザインし直していく必要があります。

しかしもちろん、組織を再編したからといって、すぐに目に見える成果が表れない可能性もあります。また、その時々のフェーズによって最適な組織の在り方は変化し続けていくものなので、それに合わせて、組織も、そこで働くエンジニア自身も、いつまでも変わり続けていかなければいけません。

Visional Wayの中に「変わり続けるために、学び続ける」というバリューがあるように、この会社には変化に対してポジティブな仲間が集まっており、実際に、変化に強い組織であると感じています。こうした考え方や姿勢が当たり前のものとして共有されているビズリーチであれば、きっと、どのような変化も乗り越えられると思っています。

──南さんもよく、「100年続く会社よりも、100回変わる会社になりたい。」というメッセージを社内外に伝えていますね。

はい。そして、そうした変化に合わせて次々と新しい課題が生まれ続けていきます。入社する前から、解決すべき課題が多い会社であることは想定していましたが、予想以上にチャレンジングな環境でしたね。

ただ僕自身としては、むしろそうした環境を望んで入社しており、また幸いなことに、同じ想いをもって入社してくれた仲間たちが集まってくれています。これからも仲間たちと一緒に、次々と本質的課題解決を進めていきたいです。


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この記事の執筆担当者

松本 侃士/Matsumoto Tsuyoshi
1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2014年、音楽メディア企業に新卒入社し、音楽雑誌・ウェブサイトの編集や、採用などを経験。2018年、株式会社ビズリーチへ編集者として入社。現在は、人事統括室・採用マーケティンググループで、「ALL VISIONAL」の運営などを担当している。


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