知財の力で、Visionalの各事業の可能性を広げていく。知的財産グループ×「Assured」の連携を紹介します。
この記事では、法務室の知的財産グループの取り組みについて紹介します。
知的財産グループは、Visionalグループの事業づくりにおける「知的財産(知財)」の重要性の高まりを受け、2021年8月にグループとして組織化されました。「事業のための知財」をテーマとして掲げ、グループ横断で各事業の知財業務を全方位的に担っています。
今回は、知的財産グループと、2022年1月に正式リリースを迎えた新規事業「Assured」の連携にフォーカスしながら、知的財産グループとして大切にしている価値観や実現を目指すテーマについて迫っていきます。
知的財産グループのマネージャーを務める岩崎克哉さん(トップ写真:左から2番目)、2022年8月に同グループにジョインした米谷仁矩さん(トップ写真:右から2番目)、また「Assured」から、株式会社アシュアードの代表取締役社長を務める大森厚志さん(トップ写真:右)、プロダクトマネージャーを務める鈴木和幸さん(トップ写真:左)の4名の対談をお届けします。
※「Assured」は、国内外のクラウドリスク評価情報を一元化したデータベースです。社会のDX化が進む一方で課題となるSaaS/ASPなどのクラウドサービスのセキュリティ情報を可視化し、安心安全なクラウド利用を支えています。
プロフィール
事業部との密な連携を通して、「攻め」と「守り」の知財戦略を実行していく。
──はじめに、Visionalグループにおける知的財産グループ(以下、知財グループ)の立ち位置や、担っている役割について簡単に教えてください。
岩崎:一言で言うと、グループ全体の知財機能を一手に担っている組織です。2021年8月に立ち上げたばかりの新しい組織で、少しずつではありますが、これまでできていなかった取り組みを含めて意思を持って知財活動を推進できるようになってきています。そうした流れの中で、2022年8月には新しい仲間として米谷さんがジョインしてくれました。
──この話の流れで、米谷さんにVisionalにジョインしたきっかけについて聞いてみたいと思います。
米谷:これまで前職の12年間で培った自分の知識と経験を活かして、「事業のための知財」を一からやってみたいと思ったことが転職のきっかけでした。
前職で働くなかで、「事業のための知財」とは何だろうとよく考えていて、ただ、自分の中でなかなか確固たる答えに辿り着くことができずにいました。ある時、ふと「事業のための知財」というキーワードでWeb検索したら、岩崎さんが出ていた2021年12月の「All Visional」の知財の記事を見つけて、その記事を読んで、Visionalの知財の取り組みは自分が思い描いていた「事業のための知財」の考え方とまさに同じだと感じました。そして、本当にたまたまなんですけど、その一週間か二週間後に岩崎さんから声をかけていただいたんです。
岩崎:初めて今の話を聞いた時は、話ができすぎていて嘘だと思いました(笑)。
──実際に数ヶ月間Visionalで働いてみて、何か感じたことなどがあれば教えてください。
米谷:知財の業務って、特許を出願して権利化することも大切なのですが、ただ、それだけでは真の意味で事業の成長に貢献することはできません。特許の出願・権利化では、事業部が思い描いている未来の姿を事業部と同じ目線で理解したうえで特許を創り込むことが重要です。
また、他社の権利を侵害しないように回避したり、権利化した自社の知財を活用したり、他にも事業のためにやるべきことは本当にたくさんあって、前職の時から、そうした一つひとつの取り組みが全て繋がって初めて「事業のための知財」になると考えていました。
転職を考えていた時は、そうした一連の知財業務に一貫して取り組みたいと考えていて、そして、まさに今、「Assured」の皆さんと一緒に、事業の全体像を見ながら知財の取り組みを推進できているので、とても大きなやりがいを感じています。
──次に、「Assured」の二人へ質問です。「Assured」は2022年1月に正式リリースを迎えたばかりのサービスですが、はじめに、新規事業づくりを進めていくうえでの知財の位置付けについてどのように考えていたか教えてください。
大森:市場や顧客ニーズ、事業モデルの検証と並行し、知財についても目を向けていました。
鈴木:僕らはこの領域において新参者ですが、セキュリティの領域には既に海外にもプレイヤーが多く存在していますし、国内でもSaaS管理のサービスが増えてきています。そうしたなかで、もし僕たちが知財についてしっかり理解していなかったら、既存のプレイヤーにどうやっても勝てないような、大きな落とし穴に向かって事業づくりを進めてしまう可能性も大いにあったと思います。
リサーチしたところ、国内においては、僕らのアプローチについて他者の特許は発見されなかったため、逆に僕らが特許として権利化できれば、それを事業づくりにおける大きな武器として活用できると考えました。「Assured」では既にいくつかの仕組みや機能を特許出願・権利化していますが、それらは僕らのビジネスの根幹でもあるので、この領域において同じグループ内のプロフェッショナルの仲間と連携できる安心感は、すごく大きいなと思いますね。
米谷:「Assured」は、特に今、知財が重要なフェーズであると考えています。これから事業がどんどん成長していく過程で、市場での存在感が少しずつ高まり、他社から注目される機会も増えてくると思います。そうした局面では、自分たちの特許をしっかり取っていくだけではなく、他社の動きを見据えたうえで知財戦略を推進していくことが何よりも大事になります。
──大森さん、鈴木さんは、知財グループと連携を進めていくなかで、知財活動に関する印象はどのように変わりましたか?
鈴木:もともとは、知財というと「守り」のイメージが強かったです。ただ、知財グループと連携を深めていくなかで、今では「守り」とは真逆の印象です。
遡ると、知財グループができる前に、「これ、特許が取れたら事業の強みにできるかもしれない」と考え、外部の専門家に相談したこともありました。ただ、踏み込むほどに専門性が高く、それを外部の方と手探りで行うことに一定の心理的なハードルがあったのも事実です。
知財グループが立ち上がったことによって、カジュアルに相談できるようになり、また、「実は、〜も特許になるんですよ」といった自分たちでは想像もできなかったようなテクニカルなアドバイスもたくさんもらえるようになりました。連携を深めていくなかで、それまで自分たちの中にあった知財にまつわる固定概念がどんどん崩れて、「攻め」の取り組みについて一緒に考えられるようになりました。
大森:知財グループとの連携を通じ、「知財」の可能性を知れたこと・身近になったことは、事業づくりを進めていくうえでのとても大きな変化だったと考えています。
岩崎:Visionalが「新しい可能性を、次々と。」というグループミッションを掲げていることにも通じますが、僕の中で知財は、事業づくりにおける自由度を高めることで「事業の可能性を広げる」ためのものだと思っているんですよね。だから、二人にそう言ってもらえてとても嬉しいです。
知財の力を活かした成功体験を、Visionalグループの中で横展開していく。
──知財グループは、Visionalグループを横断する形で、各社の各事業と連携を進めていますが、それぞれ規模やフェーズの異なる様々な事業に向き合ううえで意識していることなどがあれば教えてください。
岩崎:それぞれの事業ごとに知財グループが果たすべき役割は異なります。例えば、先ほどの話にも少し重なりますが、新規事業であれば、既に大きな企業がマーケットに存在していることが多く、そこに立ち向かっていくための知財戦略が必要となります。一方で、自分たちがマーケットで既に一定の存在感を得ている事業については、求められる知財戦略が大きく異なるものになります。
そうした様々な事業と向き合ううえで僕たち知財グループが何よりも大切にしているのが、それぞれの事業の価値観を深く理解することです。それは、その事業の価値観に沿った知財活動を進めていけば、その活動が自ずとその事業における中長期的な事業戦略に一致すると考えているからです。
ですので、僕たちは、各事業部とのミーティングの中で、単に「特許を出しましょう」と提案するだけではなく、「何を実現したいのか、解決したい課題は何か、中長期的に目指す世界観は何か?」と、口うるさく聞いています(笑)。
大森:そうした知財グループの姿勢は、一緒に事業づくりを推進する仲間として、とても頼もしいです。先ほど、岩崎さんが「事業の可能性を広げる」という話をされていましたが、リスクを管理する組織は、ともすれば事業部からストッパーと感じられてしまうこともあると思います。ただ、僕たちの場合は、逆に知財グループに相談に行ったほうが可能性が広がるので、いつも本当に頼りにさせてもらっています。
米谷:ありがとうございます。知財グループとしては、「事業部の一員として何ができるか」ということを大事にしています。リスクだけを取り上げて「やめてください、以上」と結論付けて終わるのは簡単ではありますが、事業の考える未来を実現するために知財で何ができるか考え抜き、もし、メリットとリスクが「50:50」だったら、いかに知財の力で「60:40」「70:30」にできるかが、僕たちの頑張りどころだと思っています。
特に、「Assured」のような新規事業の場合、やはりスピード感が何よりも大事になります。知財グループがネックになり開発やリリースに影響が出ることがないよう、常にスピード感を意識しながら、いかに知財の力でリスクを下げられるか、事業の成長を後押しできるかを、事業部の一員として考えるようにしています。
岩崎:僕たちとしては、「Assured」の皆さん側から僕たちを積極的に巻き込んでくれるので、良い関係性が築けていると思っています。例えば、知財グループと事業部で定期的に打ち合わせを行い、事業や開発の状況をタイムリーに共有してくれていることもそうですし、事業部のキックオフや懇親会にも、まるで事業部の一員のように僕たちに声をかけてくれます。
もともと僕らとして「事業のための知財」という信念を持って動いているのですが、それに加えて、事業部の皆さんが僕たち知財グループに真摯に向き合ってくれるので、事業部の力になりたいという想いがさらに強まります。こうした良い関係性の中で一緒に仕事ができていることは、本当にありがたいなと思います。
大森:私たちからすると、知財グループの皆さんが、数ある事業を並行して担当されお忙しいなかでも、日々事業に正面から向き合い、スピーディーかつ的確なアドバイスをくださるので、二人三脚で、共に事業づくりを行うパートナーのような感覚があり、とてもありがたいことだと感じています。
──まさに、Visional Wayのバリューの一つである「事業づくりは、仲間づくり」を体現する関係性であると思いました。
米谷:知財の活動って、僕たち知財グループだけでは何も進めることができなくて、全ては、事業部の皆さんとの繋がりから始まると思っています。知財は、あくまで事業が成長するための一つのツールです。僕たちができるのは、皆さんが生み出した技術やブランドを守り、それを活用することで事業の成長を後押しし、事業が考える未来を一緒に実現していくことなので、皆さんと築いていく信頼関係がすごく大事だなと強く思います。
鈴木:プロダクト開発の文脈で言うと、いろいろな新しい機能を考えるうえで、「他社の権利を侵害していないか?」「逆に、特許化を通じて自分たちの強みにできないか?」と毎回のように相談させてもらっていて、そのたびに事業に寄り添ったテクニカルなアドバイスをもらっています。
そのように強力にサポートしていただけるからこそ、プロダクトを作る立場の人間としては、もっともっと面白いものを作っていきたいと思いますし、知財グループと一緒に攻めのプロダクト開発を推進できていると思っています。いつも、ありがとうございます。
大森:「Assured」に限らず、今後、「Visionalグループ=知財が強い組織」というブランドを築いていくことも、すごく面白い挑戦なのかなと思っています。その実現に向けて、僕たちとしては事業づくりを通じて知財の価値を体現していきたいと思いますし、今後も、知財グループと一緒に新しい取り組みを次々と生み出していけたらと思っています。これからも、よろしくお願いします。
──最後に、岩崎さんと米谷さんに質問です。今後、知財グループとして、新しく挑戦していきたいテーマなどがあれば教えてください。
米谷:今は、まず強い権利を獲得することに重きを置いて活動していて、それはつまり、未来に向けて種をまいている状態であると思っています。そのもう一歩先のフェーズとしては、それを世の中に対してPRしたり、獲得した権利を活用したり、将来の大きな技術トレンドを見据えたうえで新たな知財戦略を打っていったり、今後どんどん新しいことに挑戦していきたいです。
やはりVisionalはモノづくりの会社なので、Visionalの各事業の成長を加速させるための強力なビジネスツールの一つとして知財を活用していく取り組みを、今以上に積極的に進めていきたいと思います。
岩崎:そのような取り組みを一つひとつ重ねていくことで、Visionalの各事業に、知財の力を活かした成功体験を増やしていきたいです。僕たちが社内で啓蒙活動を実施していることもあり、現時点で既に多くのグループの仲間たちが知財の大切さを理解し始めてくれています。今後はそれに加えて、実際の成功体験を増やしていくことで、今以上に多くの仲間が知財の大切さを確信してくれるはずです。
──例えば、ある事業で確固たる成功体験を作り出すことができたら、それをVisionalグループの中で横展開していくことも期待できますよね。
岩崎:はい。「Assuredが知財で成功していると聞きました。私たちの事業部にも、ぜひ力を貸してください」というような声が増えていくことが、僕たち知財グループが目指している状態ですね。
米谷:グループ内の横展開は、まさに僕たちの大きなテーマの一つなので、まずはその実現に向けて、事業部の皆さんと連携を深めながら一つずつ成功事例を創出し続けていきたいです。
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