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20年以上の想いと信頼を胸に、物流業界を次の未来へ。新社長就任インタビューをお届けします。

こんにちは。トラボックスで広報・マーケティングを担当している杉内です。

2023年5月1日、Visionalグループで展開する物流DXプラットフォーム「トラボックス」を運営するトラボックス株式会社の代表取締役社長に、新たに皆川拓也が就任しました。

この度、前社長の村田聡からバトンを引き継いだ背景と、物流業界、そしてトラボックスにかける思いを、村田を交えて皆川にインタビューしました。


プロフィール

皆川 拓也/Minagawa Takuya
トラボックス株式会社 代表取締役社長
2005年日本大学法学部卒業後、KDDI株式会社に入社。コンシューマ向け固定回線販売、ISPとの拡販連携の後に、2014年より新規事業部門にてスタートアップ支援プログラム「KDDI ∞ Labo」の企画・運営を統括。2018年よりCBcloud株式会社に取締役として参画後、軽貨物配送業界の変革を進めるため様々な業種の企業とのアライアンスを実現、その後KDDIを経て、2022年トラボックス株式会社入社後、事業部長などを歴任し、2023年5月より現職に就任。

村田 聡/Murata Satoshi
トラボックス株式会社 取締役(ビジョナル株式会社 取締役)
2002年、青山学院大学法学部卒業後、グローバルメディアオンライン株式会社(GMOインターネット株式会社)に入社。その後、Viacom International Japan株式会社(現:バイアコム・ネットワークス・ジャパン株式会社)などで事業開発やマーケティング部門の責任者を歴任し、2011年、株式会社ルクサ(現:auコマース&ライフ株式会社)の代表取締役社長に就任。その後、2019年より株式会社ビズリーチの取締役COO就任。2020年2月よりビジョナル株式会社取締役に就任。また、2021年8月よりビジョナル・インキュベーション株式会社(現:株式会社M&Aサクシード)の取締役、2022年8月よりトラボックス株式会社、株式会社アシュアード、株式会社ビズヒントの取締役も兼任。


物流というインフラを守り、支えることで、日本を元気な国にしたい。

──まずは、皆川さんの自己紹介をお願いします。

皆川 拓也
トラボックス株式会社 代表取締役社長

皆川:大学卒業後、新卒で通信会社のKDDIに入社しました。コンシューマ向け固定通信回線拡販のために家電量販店との交渉、インターネットサービスプロバイダー企業様との連携における相対など、主にBtoB領域での経験を積んできました。その後、トレーニー制度で中国に行き、法人営業やサービス企画に携わりました。帰国後は新規事業部門で、通信以外の領域での事業開発を促進していくプロジェクトにジョインすることになりました。そこで、スタートアップへの投資や、育成プログラムの運営に携わるなかで、南(壮一郎)さん(Visional代表)ともお会いする機会があったり、村田さんがルクサにいらっしゃった時KDDIにグループ入りする際に、担当していた部署で仕事をしていたりとご縁がありました。

その後、一大決心で退職を決め、先ほどのスタートアップ育成プログラムで支援をしていた、軽貨物(軽自動車で運ぶ比較的小さく軽い荷物)のマッチングを行う会社に取締役として参画しました。10名ほどのスタートアップで、そこでは、事業・組織が急拡大していく過程を経験をさせてもらいました。また、実際に物流業界に携わることで、業界が抱える課題をリアルに知ることができました。そして、日本の物流業界をより大きく変えるために、市場全体にインパクトを生み出せるようなことはできないかと考えるようになり、KDDIに戻ることにしたんです。KDDIで様々な物流ベンチャーと関わるなかで、Visionalにジョインしたトラボックスと出会いました。両者のタッグは非常に強いと感じ、KDDIとVisionalで何か一緒にできないかと個人的に考えており、南さんに相談しにいったのが、トラボックスとの最初の出会いでした。

結果的に、KDDIでは物流を新規事業とすることができず、どうしようかと思っていたところに、南さんや、トラボックスの経営メンバーと話す機会があり、トラボックスにジョインさせていただくことになりました。

──以前からVisionalとはご縁があったのですね。続いて、村田さんにお聞きしたいのですが、改めて、3年前トラボックスにVisionalグループに参画いただいた経緯、また、物流業界にVisionalとして参入した背景や想いを教えてください。

村田 聡
トラボックス株式会社 取締役/ビジョナル株式会社 取締役

村田:ビズリーチをはじめとしたHR Tech事業だけでなく、様々な領域に事業領域を広げていくという、Visionalとしてグループ経営体制に移行した目的に通じます。同一の会社内で新規事業を展開しようとしても、経営としては利益を上げる事業にどうしてもリソースを集中せざるを得ません。Visionalとして「新しい可能性を、次々と。」というミッションを本気で実現していくという意志を込めて、ビズリーチ一社の中で複数の異なる領域の事業を展開するのではなく、新しくグループ経営体制に移行することで、産業のDXを推進する様々な事業にチャレンジしやすい環境を整えました。

その第一弾として、トラボックスのM&Aにより物流業界に挑戦した背景としては、物流業界が社会インフラであるということ。かつ、IT化が遅れており、DXによる変革の余地が大きいということが大きなポイントでした。Visionalグループとして本質的に、「新しい可能性」を追求しようとした時に、我々としてはここに大きなチャンスが眠っているんじゃないかと確信したのです。

──トラボックスがVisionalにグループジョインしてから、社長として約20年率いてきた吉岡さんが会長に就任、2022年に村田さんが社長に就任し、吉岡さんとタッグを組む形で経営を担ってきました。村田さんが社長に就任した際の想いと、そして今回、皆川さんに経営のバトンを引き継ぐ背景と期待について教えて下さい。

村田:私が社長に就任する以前、トラボックスが今後目指すべき姿を考え続けるなかで、事業成長を通じて社会、そして業界に対してどのように貢献していけるかというストーリーが不透明になってしまっていたというのが正直なところです。その状態をある意味で立て直し、本質的にやりたかったことを明確化し、具体的な戦略に落とし込んでいくということが大きなミッションでした。

トラボックスがVisionalにグループジョインして以降、いろいろなことにチャレンジしてきました。全てのチャレンジが成功したわけではないですが、チャレンジしたからこそ見えた景色もあり、それ自体はすごくよかったと思っています。そしてここから先、トラボックスという会社が業界に貢献していくためにはさらに大きなチャレンジをしていく必要があります。その土台をつくっていくために、私が社長として入ることになりました。

その過程において、トラボックスのボードメンバーや、物流業界や周辺領域に携わる経営者をはじめとした様々な方たちとやり取りしていくなかで、トラボックスがこれまで長年にわたり、運送業界や物流業界に対して非常に熱い想いをもって事業運営をしてきたという歴史に立ち返りました。今後も運送会社の皆様とともに物流業界をより良くしていくためには、この業界にディープダイブしていく必要があると感じました。それを踏まえると、これまでの経験から業界の方々との深い信頼関係があり、そして何より、物流業界をより良くしていきたいという熱い想いを持つ皆川さんが社長として一番適任であると考えました。

ビジネスって決して一方通行ではないんですよね。「売上はお客様からいただく感謝と期待の総和である」という考えが、ビズリーチ創業時からの大切な考え方としてあります。つまり、お客様に真摯に向き合ってこそ売上が上がり、事業が成長し、それによりさらにお客様に提供できる価値が広がる。この根本的な考えを忘れてはならないと思っています。そうした考えもあり、ITの力をバランスよく活用しながら、業界の深いところまで入り込み、本質的な課題解決をしていってほしいという想いで、皆川さんに社長のバトンを引き継ぎました。

──村田さんからはVisionalとしての物流への参画について聞きましたが、今度は、皆川さん個人として、なぜ物流業界に関心を持つようになったのかについて聞かせてください。

皆川:物流に興味を持った理由は、先ほどお話ししたスタートアップ育成プログラムの中で出会った、後に参画することにもなる会社の代表に、物流業界における深刻な課題について教えてもらったのが最初のきっかけです。

運送事業者は、軽自動車で運ぶ「軽貨物」と、大型トラックで運ぶ「一般貨物」の大きく2つに分けることができるのですが、その中の「軽貨物」運送における課題について教えていただきました。現在、ECサイトの普及により個人向けの荷物が急増しています。1クリックで当日中か、遅くとも翌日には届きます。でもこれって、運送業界で働いている方々の労働集約型の頑張りによって支えられてるんですよね。

日本は少子高齢化が進むなか、今まで以上にトラックドライバーになりたいという人も少なくなってきている。この状況が続けば、数十年後には、こうしたECサイトの利便性を保つことはできなくなってしまうんじゃないかと考えた時に一番最初に感じたことは、自分に届くはずの荷物が届かなくなるのは嫌だなということ。さらによく調べていくと、今私たちの身の回りのものは全て物流によって支えられています。その物流がうまく回ってない国って元気がない国なんじゃないかなと考えるようになりました。今後、日本という国が元気でい続けるためには、物流というインフラを守り、支えることは必須だという思いから物流に興味を非常に強く持つようになりました。

そして、物流業界の中でもトラボックスにジョインした理由は、日本の運送会社様の実態をより広く、そして深く知ることができる環境であると思ったからです。国内では、物流業界の様々な課題を解決するスタートアップが多く生まれていますが、物流の市場規模は非常に大きく、私が以前いた軽貨物輸送のラストワンマイルを担う領域に加えて、一般貨物、倉庫、自動運転やロボット、海外輸送など、領域は多岐にわたります。であれば、私も軽貨物以外のところをしっかり実態把握をしていかないと業界への理解を深められないよねと思った時に、私の軸である運送で、大きいトラックを使う一般貨物領域の方々から信頼を得ているのがトラボックスでした。

そして、この領域における課題に対し、解決策を提供する力を持っているのがVisionalだと思いました。資金面でもそうですし、上場会社としての社会的信用、これまでITサービスを自社で開発してきた技術力、南さん、村田さんに代表されるようなスタートアップを成長させてきた経営経験、これら全ての力と、トラボックスが長年かけて培ってきた業界内での信頼を合わせれば、業界を本当に変えられるのではないかと非常に大きな可能性を感じました。



2024年問題、来たるべき節目の年に向けて、スピード感をもって業界の変革を支えていく。

──ありがとうございます。実際に入社して一年ほど経ちますが、逆に中から見てどう感じられましたか?

皆川:中に入ってみて、ある意味想定通りだった部分と、想定外だった部分がありました。想定内だったのは、やっぱり一筋縄ではいかない業界なんだなと。テクノロジーでどんなに良いサービスを作ったとしても、その良いサービスが簡単に普及するような土壌のある市場ではないということに改めて気付かされました。

物流業界や運送業界の課題としてよく注目されるのは、「多重構造」と「アナログ業務の多さ」です。中でも、アナログ業務について一言で言うと、本当にアナログなんです。FAXなどの紙文化がやはり根付いている。ただ、一社一社の状況を掘り下げていくと、これらのアナログ業務が最適化されているんですよね。それぞれの会社ごとのお客様、荷物、トラック、ドライバー、必要なステークホルダーと業務全体を見た時に、それがぴったり最適化されているんです。こうなってくると、テクノロジーで一気に変えていこうというのは、なかなか簡単なことではないというのが、実際に中に入り込んだからこそ気付けたことでした。であれば、最適化の部分とはまた違うところで、どこが一番のネックになっているのか、もう一回きちんと見ていかないと本当の課題は分からないんじゃないかなと思っています。

一方で、想定外というか予想以上だったのが、トラボックスの運送会社様に対してのコミットメントの高さです。それは、お客様とのコミュニケーション方法一つとってもそうですし、例えば、トラボックスでは運送会社様をお呼びした交流会を各地域で定期的に実施しているのですが、そうした場に何百人という方々が自然と集ってくださるんですよね。20年以上この業界で培ってきた信頼という大きな財産は、外からではここまで見る事ができませんでした。この運送会社の皆様との信頼関係は、今も吉岡さんが会長として力強く支えてくれているものであり、トラボックスとして未来に伝承していける力があるというのがすごく魅力的なことだと感じています。

──5月から代表に就任されたなかで、皆川さんに期待されているものはどういうものだと受け取っていますか?

皆川:業界の課題をより正確に知るためにも、業界に深く入り込み現在の状況をしっかりと把握し、20年以上かけて培ってきたトラボックスが本来持つ良さを、まずはしっかり伸ばしていく、ということだと考えています。その良さを伸ばしていった先に新しく見えてくる課題もあると思います。その時に、しっかり勝負をかけていくためにも、事業・組織として挑戦できる環境を整えていく必要があると感じています。

さらに、村田さんがVisionalにおいて取締役も兼任しているので、私自身はトラボックスの専任として、しっかりと代表取締役という責務を全うすることで、対外的な発信力も強くなると思っています。そうすることで、組織としての意思決定速度を上げ、新しい挑戦がスピーディーに実現しやすい体制を構築できると考えています。

──最後に、皆川さんの熱い想いをぜひ語っていただきたいと思います。村田さんからバトンを受けた今、改めてトラボックスの代表として、物流業界の皆様、そしてトラボックスの会員様に向けて、皆川さんの想いとメッセージをいただきたいです。

皆川:トラボックスの代表として今後意識していきたいのは、トラボックスだけでこの業界を良くするというよりも、物流業界・運送業界を変えようとしている方々と手を取り合いながら一緒に変革を進めていくということです。非常に大きい市場で、関わる方々の多いこの業界において、我々だけで大きなインパクトを生み出すのは難しい。だからこそ、トラボックスが持っていない解決手段を持つ方々と協業できるところは協業していきたいと考えています。

また、既にVisionalのグループ会社であるM&Aサクシードで運送業界のM&Aを支援しているように、業界の中でもVisionalグループとして活用できる力があると思っているので、それは着実に形にしていきたいと思います。

そして、トラボックスの良さをきちんと伸ばしていく。そのなかで、トラボックスとして新しく取り組むことと、トラボックス以外のところで取り組んでいただくものをきちんと繋ぎ合わせ、業界全体で大きなムーブメントを起こしていく。今、物流業界は、2024年問題と言われる業界が大きく変わる節目がもう来年に迫っているので、時間をかけてでも着実に変えていく部分はありつつも、スピーディーに動けるところはためらわずに前に突き進んでいく必要があります。そこをしっかりとメリハリをつけて進めていきたいと考えています。何より、運送会社の皆様、トラボックス会員の皆様あってのトラボックスですので、お客様の本質的課題解決をしっかり行っていくべく、邁進して参ります。


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この記事の取材担当者

杉内 伸太郎/Sugiuchi Shintaro
大学卒業後、アメリカへ留学。現地の日系TV局でセールスや映像編集に携わる。帰国後は、外資系企業でセールス、広告代理店にてセールスや広告プランナーを経て、2015年1月に株式会社ビズリーチに入社。BtoC・BtoBのマーケティングやアライアンスなどを担当し、2019年10月よりトラボックス株式会社にて広報・マーケティングに従事している。

この記事の執筆担当者

本田 沙貴子/Honda Sakiko
青山学院大学 総合文化政策学部卒業後、新卒1期生としてビズリーチに入社。新卒採用担当を経て、新卒事業(ビズリーチ・キャンパス)立ち上げのタイミングで法人営業を経験。その後、広報としてサービスおよびコーポレートPRを担当。2020年2月のグループ経営体制移行後は、ビジョナル株式会社 社長室 グループコミュニケーショングループにて、VisionalのグループPRや、サイバーセキュリティ領域などの新規事業PRに携わる。


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