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CCoEとして、CloudNativeの実現を目指す。プラットフォーム基盤推進室が描くビジョンに迫る。

今回は、プラットフォーム基盤推進室について紹介します。

Visionalには、各事業部におけるプロダクトの非機能要件(品質・信頼性・生産性など)の改善を責務とするシステム本部という横断組織があります。この本部は、3つの組織によって構成されており、その中で、主にクラウドインフラの非機能要件の向上を担っている組織が、プラットフォーム基盤推進室です。

この記事では、室長の薄井重人さん、OREグループ(ORE:Organizational Reliability Engineering)のマネージャーを務める粟田啓介さん、SRMグループ(SRM:Site Reliability Management)の河野まみさんのインタビューをお届けします。なお、インタビューは、人財採用部の小野瑞貴さんが担当しました。

※本記事内の写真の撮影は、ソーシャルディスタンスを保ちながら、撮影時のみマスクを外して行いました。


プロフィール

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薄井 重人/Usui Shigeto
大学、大学院で建築について学び、修了後は大手ゼネコンへ入社。2年間、建築業界で経験を積むが、学生時代から興味のあったITビジネスの世界へ。インターネット関連企業で勤務後、モバイルコンテンツなどを提供する企業へ転職し、のちに執行役員を務める。2018年8月、株式会社ビズリーチに入社。同じタイミングで横断組織であるプラットフォーム基盤推進室が組成され、当時課題であったプロダクトの品質の定量化を担当。2019年02月より、同室の室長を務める。


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粟田 啓介/Awata Keisuke
大学卒業後、インターネットサービス企業に勤務。主に広告配信システムの開発、DBA、インフラプラットフォーム開発などを担当。2018年3月に株式会社ビズリーチにDBAとして入社。組織横断でDBに対する課題を解決するべく DBRE を担当。2020年2月より、OREグループのマネージャ―を務める。


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河野 まみ/Kono Mami
大学卒業後、ERPパッケージベンダーに入社。購買管理システム・SaaS型ERPパッケージにおいて、CI/CDの仕組み化やシステム運用などを担当。2019年7月に株式会社ビズリーチへ入社し、現在はグループ全体を対象としたプロダクト品質ガイドラインの運用や全社の品質状況のレポーティングなどを担当。


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小野 瑞貴/Ono Mizuki
大学卒業後、人材紹介会社へ入社。新卒領域の紹介事業を担当。2年目より名古屋支社の立ち上げを行う。その後、両面型の人材紹介に従事し、主にライフサイエンス業界、特に医療機器メーカーを担当する。2021年2月に株式会社ビズリーチへ入社し、現在は全社横断組織ポジションの採用を担当。


CCoEとして、Visionalの持続可能性を上げ、失敗率を下げることを推進し続ける。

──はじめに、プラットフォーム基盤推進室の役割やミッションなどについて教えてください。

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薄井:2018年8月の設立以降、グループの全てのプロダクトに対して、信頼性を含む非機能要件を高めることを主な目的として、各プロダクトの開発にコミットしています。

ただ、会社やそれぞれの事業のフェーズが大きく変化し続けていくなかで、この1年間ほど、プラットフォーム基盤推進室として目指すべき方向性が曖昧になり始めていました。そこで、新しいミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を策定しました。

【ミッション】
CCoE(Cloud Center of Excellence)として、Visionalの持続可能性を上げ、失敗率を下げることを推進し続ける。
【ビジョン】
●クラウドにて高いアジリティとスピードを備えた状態
《構成要素》
・クラウドの利用が効率化された状態
・社内の事業開発のアジリティが高い状態
・クラウドの利用方法や仕組みを改善し続けている状態

●クラウドのコストが最適化された状態
《構成要素》
・クラウドをコスト効率良く利用された状態
・クラウドの利用方法を改善し続けている状態

●クラウドガバナンスが満たされた状態
《構成要素》
・技術上の守るべきことを気にしなくて良い状態
・会社が提供しているサービスに運用上のリスクがない状態
・改善し続けている状態

●クラウドの最適なプラクティスが提供された状態
《構成要素》
・クラウド人材の育成ができている状態
・クラウド利用のナレッジが溜められている状態
・社内のコラボレーション・ハブになっている状態
【バリュー】
●Don't Leave Issues 〜課題に向き合う〜
●Make it Visible 〜現状を正しく把握できる状態を提供することによって、課題発見と健全な成長を促す〜
●No Ops, More Code 〜エンジニアが開発と事業成長に注力出来る環境を提供する〜

──この新しいMVVは、どのように決めたのでしょうか?

薄井:長い時間をかけながら、プラットフォーム基盤推進室のメンバーと一緒にディスカッションを重ね、Visionalの各開発組織にもヒアリングしながら決めていきました。バリューについては、設立当時から、「Make it Visible」「No Ops, More Code」の2つのキーワードを掲げていましたが、今まで以上に深く「課題」に向き合い、その本質的解決を目指していく、という僕たちの意志を表すために、新しく「Don't Leave Issues」を追加しました。

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粟田:全員が納得するまでにはとても時間がかかりました。なぜなら、プラットフォーム基盤推進室は、扱う領域が広いため、その気になればどのようなテーマにでも取り組めてしまう組織だからです。だからこそ、一人一人の認識や意識のズレをなくし、同じミッションの実現に向けて目線を合わせるために、これでもかというくらい話し合いましたね。結果として、メンバー全員の想いが詰まったMVVが完成しました。新しい共通言語ができたので、時間をかけた甲斐があったと思っています。

──プラットフォーム基盤推進室の組織構成について教えてください。

薄井:SREグループ(SRE:Site Reliability Engineering)、DBREグループ(DBRE:Database Reliability Engineering)、粟田さんがマネジメントを務めるOREグループ、そして、河野さんが所属するSRMグループで構成されています。

SREグループ、DBREグループは、各プロダクト開発組織のエンジニアと密に連携しながら開発を進めていきます。構造的に、事業部視点で活動すると、どうしても機能面の開発を優先することが多くなりがちですが、私たちはコミュニケーションを取りつつバランスを見ながら非機能面の開発を推進しています。今回メインでお話しするOREグループ、SRMグループは、横断組織として、Visionalグループ全体の開発基盤の強化を目的としています。


横断組織として、組織の本質的課題解決を目指す。

──まず、OREグループについて教えてください。

薄井:OREグループは、ガバナンスに準拠したクラウド共通基盤の整備や管理の役割を担います。CCoEの2つの主な役割のうち、「クラウドプラットフォームエンジニアリング」を担うイメージですね。

粟田:Visionalでは、各事業部が自律的にプロダクト開発や運用を行っています。もちろん、それぞれの開発組織においてガバナンスやセキュリティを担保していただいていますが、時には会社全体に影響を与えるような脆弱性が発生してしまうかもしれません。また、それぞれの開発組織が同じテーマに取り組もうとすると「車輪の再発明」が起きてしまう可能性があり、それは会社全体にとって効率的なこととは言えません。

OREグループは、グループの横断組織として、それぞれの開発組織と連携しながらクラウドアーキテクチャーに関する課題を特定し、エンジニアリングによって解決へと導いていく組織です。クラウドに関する不適切な設定を自動的に検知する仕組みを作ったり、そもそもそうした設定ができないようにガードレールを整えたり、また、外部からのクラウド基盤への攻撃を検知する仕組みを整備したりするなど、様々な施策を行っています。

──続いて、SRMグループについて教えてください。

薄井:SRMグループは、会社全体のガバナンス、また、人と組織という観点から、プラットフォーム基盤推進室の施策を加速していく役割を担います。CCoEのもう1つの主な役割である「クラウドビジネスオフィス」を担うイメージです。

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河野:具体的には、ガバナンス観点でいうと、社内で運用しているクラウドのアカウント管理や予算管理、また、人と組織の観点でいうと、OREグループが推進している「クラウドプラットフォームエンジニアリング」の社内勉強会をはじめとする啓蒙活動や、レポート活動などを担当しています。

まずは、コスト最適化や適切なアカウント管理など、当たり前のことを当たり前のようにできる環境を目指しています。同時に、それぞれの事業部にヒアリングしながら、Visionalのクラウド活用をより推進し、ビジネスを加速させるために何ができるのか検討して、OREグループと一緒に施策を進めています。

例えば、現在はコスト最適化やリスクの高い設定の改善に向けてレポーティング活動などを行っていますが、ゆくゆくは、更なるパフォーマンス向上のための施策を提案することで、より深くビジネスの成功に貢献していきたいと考えています。

──横断組織の中で働くうえでは、どのようなことを意識していますか?

粟田:はじめは、何をすれば、それぞれの事業部のために、引いては、その先に待つユーザーのために価値貢献できるか、探り探りの状態が続いていました。僕たちの組織が担うクラウドという領域は非常に広いため、やろうと思えば、どのようなテーマにも取り組むことができてしまいます。

だからこそ特に強く意識しているのは、本質的な課題を特定することです。そのうえで、各事業部と役割を決め、僕たちが持つスペシャリティを活かした施策を推進していく。しばらく暗中模索の時期が続いていましたが、やっと組織としての方向性が定まってきたと考えています。

薄井:また、横断組織として動くうえで意識しなければならないのは、PL観点とBS観点は構造的に相反する、ということです。僕たちは会社や事業の中長期的な成長のためにBS観点から提案をしますが、事業長やプロダクト開発部長は、その期中のPL観点を重視する傾向があります。緻密にコミュニケーションを取りながらバランスの良い解決策を模索していくのですが、そのうえで大切なのは、僕たちの施策がどれだけ価値あるものかを可視化することです。

僕たちが「Make it Visible」というバリューを掲げているのは、一つ一つの要因を可視化することによって、事業部とのコミュニケーションを円滑にし、未来のためにより最適な判断を行うためです。

粟田:時に、施策の方向性を巡って意見が異なることもありますが、僕たちとしては、それぞれの開発組織と「並走」することを意識しています。課題を特定し報告するだけではなく、並走しながら一緒に解決を目指す。提案だけで終わってしまわないために、OREグループとしてもエンジニアリングの知見や経験が重要になってきます。

河野:私たちは、プロダクト開発組織に何か依頼をする機会も多いのですが、意見が異なる時は、その都度しっかりと認識を合わせることを意識しています。また、一度に全ての依頼を受け入れてもらえない時は、アラートのレベルに分けて依頼を整理したり、私たちの提案が理解されやすく、導入しやすいものにブラッシュアップしていきます。SRMグループが行っている日々のレポート活動も、お互いの認識を合わせるための施策であり、このように丁寧にコミュニケーションを取っていくことが大切だと感じています。

薄井:二人のお話にもあったように、時には、それぞれの開発組織と意見が分かれることはありますが、総じてVisionalは、ガバナンスやセキュリティへの理解を持つ人がとても多いと思っています。システム本部があること自体が会社としての意思の表れですし、(竹内)真さん(ビジョナル株式会社 取締役 CTO)外山(英幸)さん(株式会社ビズリーチ 執行役員 CTO)園田(剛史)さん(ビジョナル株式会社 執行役員 CIO)も、そうした観点を強く重視しているからこそ、会社の共通認識として広まっているのだと思います。


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守りの「Governance」から、攻めの「CloudNative」へ。

──この先、どのような組織を作っていきたいと考えていますか?

粟田:僕たちがCCoEとして存在するからこそ、「この会社は守られている」という安心感や信頼をもってもらえるような組織を目指したいですね。また同時に、CCoEだからこそ挑戦できることもまだまだあると思っています。今は守りがメインですが、そのゴールを迎えた後は、僕たち自身もワクワクするような攻めの施策に挑戦できるはずです。そのうえでは、やはり課題設定の力が大事になってきますね。

薄井:マイナスからゼロを目指す(Governance)ことももちろん大切ですが、ゼロからプラスを目指す(CloudNative)ことは、何よりもきっと楽しいと思っています。粟田さんの言うように、課題設定の力を磨いて、クラウド活用を通して、その本質的解決を実現できる組織を目指していきたいです。

河野: SRMの観点からも同じことが言えて、プラットフォーム基盤推進室の施策を通して、Visionalが次々と新しいプロダクトを生み出し、成長させていくことに貢献できる組織を目指したいと思っています。

──どのような方と一緒に働きたいと考えていますか?

粟田:探求心をもって自ら課題を設定し、その解決のために自らを磨き続けることができる方。あとは何より、変化に強い方ですね。Visionalで働くうえでは、常に激しい変化にさらされることになります。自分の信念を持ちつつも、そうした変化の中でしなやかに施策を推進し続けられる方。Visionalが大切にしているバリューの中に「変わり続けるために、学び続ける」という言葉がありますが、この価値観を体現できる方と一緒に働きたいと思っています。

薄井:Visional Wayでいうと、「価値あることを、正しくやろう」というバリューもとても大事ですよね。プラットフォーム基盤推進室としても、「価値」にこだわる姿勢は大切にしています。

粟田:「その施策にどのような価値があるのか」と、とことん話し合う機会が多いですよね。一人一人が忖度なく発言し、頭がはちきれそうになるくらい考え続けています。それは僕たちが、Visionalの中長期の未来を見据えているからこそなんですよね。個別最適ではなく、どうしたら、会社の未来にとっての価値を生み出すことができるか。価値あることとは何か?一緒に考え続けられる方と一緒に働きたいですね。

河野:薄井さんと粟田さんのお話は、まさにその通りだと思っています。加えて、SRMグループに関していえば、プラットフォーム基盤推進室として実現したい価値を、丁寧に言語化できる方と働きたいですね。

SRMグループで働くうえでは、社内外の様々なステークホルダーと連携して施策を進めていく必要があり、当たり前のことですが、その一つ一つに説明責任が伴います。時には、携わる人の数が多く、なかなかスムーズにいかないこともあります。ただ、「Visionalの未来にとって、この施策がどのような価値があるのか」を自分の言葉で丁寧に伝えていけば、みなさん前向きに巻き込まれてくれます。

──最後に、未来の仲間へメッセージをお願いします。

薄井:もうすぐ、プラットフォーム基盤推進室が設立されてから3年が経ちますが、やっと横断組織としての基盤が整いつつあるフェーズです。これからこの組織を更に成長させていくためには、大変なことを受け入れながらも試行錯誤を繰り返していく必要があります。それでも、その覚悟を持ちながら、一緒にプラットフォーム基盤推進室の、引いては、Visionalの未来を描いてくれる方と一緒に働きたいですね。

河野: Visionalは、「新しい可能性を、次々と。」というグループミッションを掲げながら、数多くの事業を展開し、新しいプロダクトを生み出し続けていく会社です。そうした会社において、CCoEとしてグループ全体の開発基盤の強化に携わる経験は、とても貴重なものだと思っています。私自身、Visionalの進化を加速させるために、SRMグループで働くことに楽しさを感じています。同じ想いを持つ方と一緒に働ける日を楽しみにしています。

粟田:世界を見渡しても、 CCoEという概念や仕組みは、まだまだ広く浸透しておらず、逆に言えば、今プラットフォーム基盤推進室で働くことは、そのまま、世の中のCCoEのスタンダードを築くチャンスにもつながると思っています。大変なことも多いかもしれませんが、その分、挑戦する意義は深いと思っています。興味をお持ちの方は、ぜひ一度お話できたら嬉しいです。


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この記事の執筆担当者

松本 侃士/Matsumoto Tsuyoshi
1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2014年、音楽メディア企業に新卒入社し、音楽雑誌・ウェブサイトの編集や、採用などを経験。2018年、株式会社ビズリーチへ編集者として入社。現在は、人事統括室・採用マーケティンググループで、「ALL VISIONAL」の運営などを担当している。

撮影:住岡 梓


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