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現代アートは、ビジネスプロフェッショナルのキャリア形成に影響を与えるのか? ビズリーチの実証に向けた取り組みを紹介します。

こんにちは。株式会社ビズリーチのサステナビリティプログラム「みらい投資プロジェクト」(詳細は後述)事務局の爲近(タメチカ)です。

ビズリーチは、近年、ビジネスとアートの接点が増えていることを企業や個人の動きから感じており、一つの仮説として「ビジネスプロフェッショナルのキャリア形成において、アートがポジティブな影響を与えるのでは?」と考えました。そこで、2022年11月、ベネッセアートサイト直島を展開する公益財団法人福武財団様と連携協定を締結し、その可能性を探ることといたしました。

連携協定の背景については、こちら。

連携した取り組みの第1弾として、対話型鑑賞というアート鑑賞の仕方に焦点を当て、ビズリーチ会員の皆様を対象に企画を開催しました。「"思考の枠を外す"現代アートの対話型鑑賞体験イベント」という企画で、2023年9月にオンライン形式で、また、12月には直島(香川県)の現地に集まる形式で実施しました。今回は、その模様をご報告します。


対話型鑑賞とは?

そもそも「対話型鑑賞ってなんだろう?」と思われる方も多いかもしれません。対話型鑑賞は、1980年代半ばにアメリカのMoMA(ニューヨーク近代美術館)で開発された作品の鑑賞方法の一つで、作品説明などの知識に基づく鑑賞ではなく、その場で抱いた感想やイメージを大事にし、他の参加者と対話をしながら行う鑑賞方法です。

福武財団様は、ベネッセアートサイト直島に所蔵されている現代アートを活用した対話型プログラム「BASN対話型鑑賞プログラム」を有しており、今回、ビズリーチは、福武財団様との共同開発で、このプログラムをビジネスプロフェッショナル向けにカスタマイズして活用することを目指しました。



現代アートの対話型鑑賞を通して、キャリアに関する学びや気付きを得る。

9月と12月の対話型鑑賞イベントを開催するにあたっては、事前に、ビズリーチ社員向けに3回の検証を行い、ビジネスプロフェッショナルのキャリア形成への効果が最大化される形を模索しました。

また、開催の形式について、直島の現代アートは、直島の展示場所に合わせて制作された作品「サイトスペシフィック・ワーク」が多く展示されていて、現地に足を運ぶことでより深く鑑賞することができますが、一方、参加者が直島に移動するという物理的な距離による参加ハードルの高さを踏まえ、「忙しいビジネスパーソンにとってより良いイベントは何か」を福武財団様とともに検討を重ね、その結果として、移動の負担がなく参加できるオンライン形式のイベントも並行して開催することとしました。

こうした過程を経て実施したオンライン形式(2023年9月)、オフライン形式(2023年12月)の対話型鑑賞イベントでは、参加者の感想を総合すると、多くの方が「自己理解が進んだ」「自己受容ができた」と感じており、ほとんどの方が9点・10点(10点満点)を付けた高い満足度のイベントとなりました。

参加者の声(一部抜粋)

・自然と人工物、人の営みと現代アート、生と死、あの世とこの世……あらゆるものの境界は実にあいまいで、行ったり来たり、表裏で一体なもの……なのに、私たちはまっすぐな線や枠で世界を切り取り、あたかもそこに境界があることが当たり前かのように世界を捉えている、ということに揺さぶりをかけられる。まさにこのプログラムのタイトルにもあった「思考の枠を外す」体験をできたと思うのが評価の大きな理由です。また、参加した皆さんと対話をしながらアート鑑賞をする、という体験も(こんなに美術館で話してもいいんだ!という驚きとともに)新鮮かつパワフルで、特に「こんな見方をしました」という話を聞くと、自分ももう一度その見方で体験したい!と昼食後に追体験・再体験するなど、一人では決してできない、アートとの対話、自分との対話、仲間の皆さんとの対話がシームレスに組み合わさった特別な体験をさせていただきました。

・アートは非日常的な部分が多いものと捉えていましたが、見方によっては今の自分を振り返って日常にあてはめることができるもの、身近にあるものと感じることができました。他の方の考えを知ることでその作品に対して新たな興味を持つことができ、一緒に鑑賞する人、年齢、季節、気分などによって同じ作品でも違う感じ方ができることが発見でした。

・間接的に、自分のコンディションや関心を知るきっかけになるかもしれない。また、会社のメンバーと鑑賞会をするといい気付きがありそうだ。

こうした高い満足度を得られた理由としては、参加者の対話を促すファシリテーターの存在、また、現代アートを媒介にしたことが挙げられると考えています。

「BASN対話型鑑賞プログラム」では、ファシリテーターが参加者の思考を深掘りする支援を行っています。ファシリテーターからの問いかけを通じて、参加者それぞれの作品への見え方や感じ方、価値観や状況についての言語化が進みます。加えて、他の参加者との感想の共有や対話を通して、自分では想定し得なかった新しい視点がもたらされ、他者との比較の観点で自身の思考の癖・特徴への理解も進み、自己の振り返り等の当初の目的を達成できた参加者が多かったのではないかと考えます。

また、現代アートは、文章や音楽と比べて表現の自由度が高く、解釈の余地が広いことから、鑑賞者が心理的な安全性が保たれた中で連想ゲームのように様々なイメージを持つことができたのも、現代アートの対話型鑑賞ならではの体験だったのではないかと思います。

ベネッセアートサイト直島の学びの展開

検証を通して、対話型鑑賞の思考プロセスが、キャリア形成における、キャリアコンサルタントとの対話の思考プロセスと類似していることも分かりました。この点については、イベントに同行いただいた「NIKKEIリスキリング」様に記事化していただいておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。



最後に。

ビズリーチは、「キャリアに、選択肢と可能性を」をミッションに、一人ひとりが自身のキャリア形成における覚悟を持った選択をするための「選択肢」と「可能性」を提示するインフラとなることを目指しています。

私たちは、今回のような現代アートの対話型鑑賞の機会が、自身のキャリアについて深く考える機会の一つに繋がるのではないかと期待しています。「キャリアを見つめ直してみようか......」「今、自分が抱えている課題と深く向き合うにはどうしたらよいか......」そんな時に、「現代アートの対話型鑑賞を体験してみよう!」このような選択肢を持つ日があってもよいと思っています。

自身のキャリアの振り返りや棚卸しに苦手意識を持っている方や、これまでキャリアについて考え続けてきたものの行き詰まりを感じている方などには、特におすすめです。キャリアに関する意識をポジティブに変換する一つのきっかけとして、ビズリーチは今後も定期的に今回のような機会を提供できればと思っております。



「みらい投資プロジェクト」について

最後に、株式会社ビズリーチのサステナビリティプログラム「みらい投資プロジェクト」について紹介します。このプロジェクトは、教育・官公庁・NPO・新産業など、プロ人材の力を必要とする社会貢献性の高い領域を対象に、当社がパートナーと共に、社会の課題解決を通じてより良い未来の実現を目指すプログラムです。本プログラムを通じて、「未来のプロフェッショナル人材の育成」や「未来の新産業創出支援」などに取り組んでいます。

※「みらい投資プロジェクト」のこれまでの取り組みは、こちら。

・国立高等専門学校機構(高専機構)と取り組む未来のプロ人材育成「副業先生を通じた最先端教育の提供」

・宇宙航空研究開発機構(JAXA)と取り組む未来の新産業創出支援「宇宙分野に関わる人材の育成」

・公益財団法人福武財団と取り組む未来のプロ人材育成「アートを通じた学びのプログラムの提供」

・慶應義塾と取り組む未来の新産業創出支援「慶應版 EIR(客員起業家)モデル・世界レベルのスタートアップ企業創出」


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この記事の執筆担当者

爲近 敦夫/Tamechika Atsuo
フィールドマーケティング業界でキャリアをスタートし、インドネシア・インドでの海外事業の立ち上げや事業推進を経験。2017年に株式会社ビズリーチに入社後、民間企業・官公庁の人材採用支援を行った後、「みらい投資プロジェクト」事務局の一員として企画・運営を担当。プライベートでは俳優・演出家として演劇活動を行う。


「All Visional」Twitterアカウントは、こちら


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